ひどい更年期障害にHRT(ホルモン補充療法)は有効?効果・治療法・リスクについて

ひどい更年期障害にHRT療法は有効?効果・治療法・リスクについて

更年期障害の症状は、ひどい場合、生活の質(QOL)に重大な影響を及ぼします。更年期障害は、体のほてりや倦怠感、不眠や不安感など、身体的にも精神的にも様々な症状を引き起こします。

症状が軽い場合には、市販のサプリメントを使用したり、食事や休息をきちんと取ったりすることで改善できます。

しかし、症状がひどい場合、何日も寝込んでしまったり、いらいらが爆発してしまい周囲の人に驚かれてしまったりと生活に悪影響を及ぼしかねません。

ひどい更年期障害の治療法として注目されているのがHRT(ホルモン補充療法)です。HRTとは、どのような治療法でどういう効果があるのでしょうか?また、副作用などのリスクはあるのでしょうか?

HRTの治療法とは?

HRTの治療法とは?HRTは、体内で減少したエストロゲンと黄体ホルモンいう女性ホルモンを投薬によって補充する治療法です。

エストロゲンは、女性の体のバランスを整える役割をするホルモンです。初潮前後から分泌が始まり、20歳代から30歳代にかけて分泌のピークを迎え、その後徐々に減少します。

更年期障害は、このエストロゲンの減少により、体のバランスが崩れ様々な場所に不調が現れるのが更年期障害の原因であるとされています。

HRTは、このエストロゲンを人工的に補うことで、更年期障害による体の不調を緩和する治療法なのです。

黄体ホルモンも、エストロゲンと同じ増減サイクルをたどる女性ホルモンで、主に体温の上昇や子宮内膜を厚くし、生理や排卵に影響を及ぼすとされています。

HRTでは、エストロゲンとともに黄体ホルモンを補充することで、後述する副作用を緩和する役割を担っています。

HRTは保険適応範囲で行える

HRTは、日本での認知度がまだ低く、普及率はわずか1.5%と、まだ導入が進んでいない治療法です。しかし、欧米では多数の治療実績があり、効果や副作用に関しては、十分な実績があります。

日本でも、HRTの治療に用いられる飲み薬・貼り薬・塗り薬は、健康保険の適応範囲内で入手することができます。

HRTは、日本ではほとんど知名度がありませんが、今後、普及が期待される新しい治療法なのです。

HRTの種類

HRTは、ホルモン成分を含んだ薬を飲み薬として経口で摂取する、または、貼り薬や塗り薬として摂取することで行います。治療に利用する薬は、閉経からの経過時間など、治療を受ける人の状態によって組み合わせが異なります。

ただし、乳がん、子宮がん、血栓症の治療薬を服用している人、脳卒中や心筋梗塞を患ったことがある人については、HRTを受けることができません。

また、子宮筋腫、高血圧、肝機能障害の症状がある場合にも、医師にその旨を伝え、十分に注意しながら投薬を行う必要があります。

HRTの効果とは?更年期の症状全般に効くの?

HRTの効果とは?更年期の症状全般に効くの?HRTは、更年期障害の原因となるエストロゲンの減少を人工的に食い止める治療法であるため、更年期障害の根本的な治療が可能で、更年期症状の諸症状の緩和に絶大な効果があります。

更年期障害の治療については、HRT療法の他にも漢方薬を用いた治療法や、抗うつ剤や抗不安薬を用いて精神面の安定は図る治療などが存在します。

しかしいずれの治療法も、発生している症状に対する対処療法でしかなく、更年期障害に対する根本治療は、HRT療法だけです。

HRTによって、緩和が期待できる更年期障害の症状は主に以下の3つです。

  • のぼせや多汗症
  • 骨粗鬆症などの骨のトラブル
  • 不眠や不安感などの精神的な症状

それぞれの症状についてHRTが及ぼす効果を詳しくみていきましょう。

のぼせや多汗への効果

HRTを行った場合、多くの場合、最も早く効果を実感できるのがのぼせや多汗などの症状に対してです。

エストロゲンは、自律神経のバランスを整える役割も担っています。自律神経は、体の体温調整や臓器の働きを正常に保つために大きな役割を担っています。

そのため、エストロゲンが減少すると、体温調整がうまく行かず、結果的にのぼせや多汗の症状、また逆に、冷えなどの症状が現れるのです。

HRTを行うと、ホルモンの減少を抑え、自律神経の乱れを調整することができるため、開始から1週間程度で、のぼせや多汗など体温調整機能にまつわる症状の緩和を感じることができます。

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骨のトラブルへの効果

つぎに、HRTが効果を発揮するのが骨粗鬆症などの骨のトラブルです。エストロゲンは、女性の体の中で、骨を強くする役割も担っています。

そのため、更年期障害によりエストロゲンが減少すると、体内で破骨細胞と呼ばれる骨をもろくする細胞が増殖し、骨粗鬆症や関節痛などの骨にまつわるトラブルを引き起こしてしまいます。

HRTでエストロゲンを補充することで、破骨細胞の生成を抑え、骨を強い状態に保ってくれる効果が期待できます。

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精神的な症状への効果

さらに、HRTは、不眠や不安感などの精神的な症状にも効果を発揮します。HRTで用いられるエストロゲンには、脳の神経細胞を保護する働きがあります。

そのため、不安感や抑うつ感など、更年期障害によってもたらされる精神的な不調にも作用します。

また、エストロゲンの自律神経のバランスを整える作用により、睡眠バランスの乱れを調整してくれる効果も期待できます。

HRTのリスク(副作用)

HRTのリスク(副作用)HRTは、効果だけを見ると、更年期障害によって起こるあらゆる不調に作用する万能の治療法のように写りますが、もちろん副作用も存在します。

実は、HRTが登場し欧米で認知され始めたころ、HRTが心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞、乳がん、静脈血栓のリスクを上昇させるという報告があり、HRTの普及が急速に衰えたという背景もあります。

しかし、治療法が確立された現在においては、副作用のリスクを最小限に留めることが可能となっています。きちんと医師と相談しながら治療を進めれば、大きな副作用の心配をせずに治療を受けることが可能になってきています。

HRTの副作用は、実際には、どのようなものがあり、またどれくらいリスクがあるものなのでしょうか。

乳がんリスク

HRTの副作用のひとつが、乳がん発生のリスクを高めるというものです。これは、HRTを5年以上受けた場合、乳がんの発生リスクが約3割増加する、という統計結果が明らかになっているためです。

しかし、逆に5年以内であれば、リスクは増加せず、むしろ、HRTを受けた人の中での乳がん発生割合は、通常よりも少ない、という研究結果もあります。

そのため、現在では、HRTの投薬は、最大でも5年で終了することになっており、一般的には2年~3年で終了することがほとんどです。

そのため、乳がんを増加させるリスクについては、ほとんど心配いらないと言ってよいでしょう。

子宮がんリスク

HRTは、子宮がんリスクを高めるという報告もあります。このリスクについては、黄体ホルモンを併用することで回避することが可能です。

HRTが子宮がんリスクを高めると言われているのは、エストロゲンに子宮内膜を増大させる効果があり、それに伴って子宮がんリスクが増してしまうと言われているためです。

そのため、HRTでは、黄体ホルモンを併用することで、子宮内膜のバランスを整え、このリスクを回避しています。

ただし反動として、子宮から月経のような出血がみられたり、お腹の張りを感じることがあったりします。

脳卒中や心筋梗塞リスク

また、HRTの副作用として、脳卒中や心筋梗塞がおこりやすくなるということも言われています。

これについては、閉経後、2年を経過した人がHRTを受けた際、発生しやすいことがわかっているため、閉経後の経過年数などを治療時に明らかにしたうえで適切な処置を行います。

特に近年では、第一選択で、効果もゆるやかだが副作用も少ない塗り薬や貼り薬を用いることが一般的になっているため、このリスクについてもほとんど心配がいりません。

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